肥満は万病のもと2021.7.6
BMIが25を超える肥満者
日本では、特に男性で、BMIが25を超える肥満者が増えてきています。
2014年の「国民健康・栄養調査」によると、40~60代の中高年の男性において
肥満者の割合が30%を超えています。
女性の肥満者は昔とあまり変わりませんが、閉経後の女性に多いようです。
これには、女性ホルモンの働きが関係すると考えられています。
**気を付けたい内臓脂肪**
肥満には大きく分けて2タイプあります。1つは胃や腸などの臓器の周りに脂肪がたまる
「内臓脂肪型肥満」です。男性に多く、お腹がポッコリと出るのが特徴です。
もう1つは皮脂のすぐ下に脂肪がつく「皮下脂肪型肥満」です。女性に多く
指でつまむことが出来るタイプです。
上記2つのうち、特に注意が必要なのが、内臓脂肪型肥満です。
臓器の周りに脂肪がつくことで、体に悪影響を与えやすいと考えられます。
そもそも脂肪は多くの脂肪細胞で出来ています。
通常、脂肪細胞は動脈硬化や糖尿病を防ぐ物質を分泌するなど、良い働きをしますが、
余分なエネルギーを脂肪として溜め込む「貯蔵庫」のような働きもあります。
肥満の背景にはエネルギーの摂り過ぎがありますから、肥満がある人の脂肪細胞は、
通常の2~3倍にも肥大化しています。
内臓脂肪型肥満の人のお腹が出るのはこのためです。
内臓脂肪が1kg増えると、おへそ回りの腹囲は約1cm増えると言われています。
肥大化した脂肪細胞からは、体に良い働きをする物質の分泌が減り、
逆にさまざまな悪い働きをする物質が分泌されるようになります。
**さまざまな生活習慣病の要因に**
内臓脂肪型肥満を放っておくと次のような症状を起こします。
・高血圧を引き起こす
肥満は塩分のとり過ぎに並ぶ、高血圧の大きな要因です。
まず、肥満があると、血管の収縮に関わる交感神経の働きが活発になり、血圧が上がります。
さらに肥大化した脂肪細胞からは、血圧を上げるホルモンの分泌が多くなります。
そのため、肥満があると高血圧を招きやすくなります。
・高血糖を引き起こす
肥大化した脂肪細胞が分泌するホルモンの中に、インスリンの働きを悪くするものがあります。
インスリンはすい臓から分泌されるホルモンの一種で、食事によって摂取したブドウ糖を、
エネルギー源として肝臓や筋肉、脂肪組織に蓄えます。
このインスリンの働きが阻害されると、血液中にブドウ糖が余ってしまい、血糖値が上がります。
高血糖を放置するとやがて糖尿病に進行します。
糖尿病の怖さは、その合併症にあります。
血糖値が高い状態が続くと、全身の血管が徐々に傷つき、さまざまな病気を引き起こします。
・脂質異常を引き起こす
脂質異常とは、コレステロールや中性脂肪など、血液中の脂質のバランスが著しく乱れている状態をいいます。
コレステロールには全身にコレステロールを運ぶLDL(悪玉)コレステロールと、
余分なコレステロールを回収するHDL(善玉)コレステロールがあります。
コレステロールは体を構成する細胞の膜や、ホルモンの材料となる欠かせないものですが、
血液中に増えすぎると血管壁の中にたまり、動脈硬化を引き起こします。
一方、中性脂肪は主に食べ物から摂取し、体のエネルギー源になります。
しかし、血液中に増えすぎるとLDL(悪玉)コレステロールをより小さくして、血管壁の中に入り込みやすくしたり、
HDL(善玉)コレステロールを減らすなどして、動脈硬化を促します。
内臓脂肪は主にHDL(善玉)コレステロールの減少、そして中性脂肪の増加という脂質異常を引き起こします。
動脈硬化の直接の原因となるLDL(悪玉)コレステロールには作用しないものの、間接的に
動脈硬化を進めてしまうのです。
**がんの要因になることも**
肥満には生活習慣病のほかに、ガンのリスクを高めることがわかってきました。
理由のひとつに、インスリンの過剰分泌が挙げられます。
特に、内臓脂肪型肥満があると、インスリンの働きが低下して血糖値が上がりますが、
このとき、血液中に余ったブドウ糖を処理するために、インスリンが必要以上に分泌されます。
これが、ガン細胞を増殖しやすくすると考えられています。
ガン予防の観点からも、肥満にはデメリットしかありません。
下記の適正体重の求め方を参考にして、
適正体重が大幅に超える場合には注意が必要です。
適正体重の求め方
身長(m)×身長(m)×BMI(男21~27 女21~25)
*BMIは、25以上が「肥満」、18.5未満が「痩せ」とされています。
男性はBMIが21~27、女性は21~25の範囲内にとどまるよう
体重を保つこが勧められています。
※今回の記事は「日本健康マスター検定」公式テキストを参考にしました。
※このブログは診断や治療、医療のアドバイスを提供しているわけではなく、情報のみを提供しています。このブログの情報は医療専門家からのアドバイスに代わるものではありません。